CADを利用する上で避けて通れないのが、ファイル形式の違いや変換の問題です。特にDWG(AutoCAD形式)とJWW(Jw_CAD形式)は、日本国内で広く使用されており、業務において両者を扱うケースも少なくありません。
本記事では、DWGとJWWの基本的な違いから互換性、代表的なソフトを活用した変換方法、変換時の注意点まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
DWGとJWWの違い
まずは、両形式の基本的な違いを整理しましょう。
項目 | DWG形式 | JWW形式 |
主なソフト | AutoCAD、ZWCADなど | Jw_CAD |
特徴 | 国際標準、機能豊富 | 日本独自仕様、シンプルで軽快 |
拡張性 | 3D対応、外部参照などに強い | 主に2D設計に特化、動作が軽い |
拡張子 | .dwg | .jww |
DWGは世界的に利用されている業界標準の形式で、対応するCADソフトも多くあります。一方、JWWは日本の建築・設計分野を中心に根強い人気があり、軽量で扱いやすいことが特長です。
ただし、両形式に互換性はなく、直接開くことはできません:
- Jw_CADはDWGファイルを直接開けない
- AutoCADはJWWファイルを直接開けない
そのため、異なる形式を扱う際には変換作業が不可欠となります。
ZWCADを用いたDWG JWW変換方法
ZWCADはDWG互換のCADソフトですが、JWWファイルの読み書きにも一部対応しており、変換用途に適しています。
JWWをDWGに変換
1. ZWCADを起動
2. 「SXFとJWW」から「JWW読み込み」を選択(クラシックUIではコマンド _jwwimport を入力)
3.対象のJWWファイルを選択
4.読み込んだ図面を「名前を付けて保存」でDWG形式に保存。
5.読み込み後は、寸法やレイヤーの崩れがないかを確認します。

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RootPro CADを使ったDWG JWW変換方法
RootPro CADは、DWG・JWWの両方に対応しており、それぞれの形式を直接開いて変換保存が可能な便利なツールです。
特に異なるCAD間でのデータやり取りが発生する現場では、中継ソフトとして非常に有用です。

画像出典:https://www.rootprocad.com/
ただし、以下のような注意点があります:
- 無料版ではエクスポート機能が制限されており、DWG・DXF・JWW形式への書き出しはできません
- 図面の読み込みと閲覧は可能ですが、変換保存にはProfessional版(有料)へのアップグレードが必要です
- 商用利用には制限があるため、業務利用の場合はライセンス規約を確認しましょう
RootPro CADは変換用途における有力な選択肢ですが、無料・有料の機能差を理解して活用することが大切です。
DXF形式を利用したDWG JWW変換の間接的な方法
DWGとJWWは直接互換性がないため(Jw_cad 6.00まで)、中間形式としてDXFを利用する方法もあります。
DXFはAutodesk社が策定したCADデータ交換フォーマットで、多くのCADソフトに対応しています。
JWWをDWGに変換(DXF経由)
- Jw_CADで図面を開く
- 「名前を付けて保存」からDXF形式で書き出す
- ZWCADやAutoCADでDXFを開き、DWG形式で保存
DWGをJWWに変換(DXF経由)
- AutoCADやZWCADでDWGを開く
- DXF形式でエクスポート
- Jw_CADでDXFファイルを読み込む
この方法は多少手間がかかりますが、無料ソフトだけで変換したい場合や、他に対応手段がない場合に有効です。
ただし、DXFのバージョンやソフト間の仕様差により、寸法ズレやレイヤー崩れが発生することもあるため、変換後の図面確認は必須です。
DARE ONEでDWGとJWWのオンライン変換
CADソフトをインストールせずに変換を行いたい場合は、オンラインツール「DARE ONE」の活用が便利です。
使い方は非常にシンプルで、ユーザー登録後にログインし、変換したいファイルを画面上にアップロードするだけで、JWWからDWG、あるいはその逆の変換が可能になります。変換後にはダウンロードリンクが表示され、即座に変換結果を取得できます。専用ソフトを用意する必要がないため、外出先や急ぎの場面でも活用しやすいのが特長です。

画像出典:https://www.caddare.com/converter/jww/jww
ただし、無料プランにはいくつかの制限があります。たとえば、変換は1日1回までに限られており、対応するファイルサイズも1MB以内とやや小さめです。また、変換後のファイルは1回限りのダウンロードとなっており、有効期限内に保存し忘れると再取得できない点にも注意が必要です。
DARE ONEは手軽さと即時性に優れる一方で、制限があるため、頻繁に変換する方にはローカルソフトの方が実用的です。
変換時の注意点
形式変換では、以下のような問題が発生する可能性があります。事前の確認と変換後のチェックがトラブル回避のカギです。
再現性の問題
- フォントの違いにより、文字化けすることがあります
- 寸法スタイルが正しく再現されない場合があります
- 線種・線幅が変化し、図面の見た目に差が出ることがあります
図面の破損リスク
- レイヤー構造が崩れる場合があります
- ブロック定義が一部欠落する可能性があります
- 図面全体がずれたり、スケールが変わる場合もあります
変換後は必ず目視での図面チェックを行いましょう。
まとめ
DWGとJWWの変換には複数の方法があり、それぞれに特徴と適した用途があります。
方法 | 特徴 | おすすめユーザー |
ZWCAD | 両形式に対応、簡単な変換が可能 | 実務で頻繁に変換する方 |
RootPro CAD | 双方向対応、無料版の機能制限に注意 | 個人利用や試験的な利用 |
DXF経由 | 中立的な交換形式 | 他ソフトへの中継地点として便利 |
DARE ONE(Web) | ソフト不要、制限あり | たまに変換したい方、外出先などで利用 |
作業環境や使用頻度に応じて、最適な方法を選択しましょう。