CAD市場には多種多様な製品が存在しますが、その中でもBricsCADは、2D製図から3Dモデリング、BIMまで幅広い設計ニーズに柔軟に対応できる多機能なCADソリューションとして注目されています。本記事では、BricsCADの基本情報や特徴、主な機能、価格体系を詳しく解説するとともに、近年日本で注目を集めるAutoCAD互換製品であるZWCADとの比較も行います。

BricsCADとは

BricsCADはベルギーのBricsys社が開発したDWGネイティブ対応のCADソフトウェアです。2D設計から3Dモデリング、さらにBIM(Building Information Modeling)機能までを一つのプラットフォームに統合しており、多様な設計分野に対応しています。AutoCADとの高い互換性を保ちつつ、独自の操作性や柔軟なカスタマイズ性も備えていることが特徴です。

主な利用対象はAutoCADからの乗り換えを検討している中小企業や設計事務所で、特にコストパフォーマンスの高さが評価されています。ライセンス形態も柔軟で、企業導入に適しています。 bricscadのインタフェースを紹介する図

BricsCADの主な特徴

AutoCADの互換性

BricsCADはDWGファイルをネイティブに扱い、AutoCADと似たショートカットやコマンド体系を持つため、既存のワークフローに大きな変更を加えずに導入可能です。

さらにLISPやVBA、.NETなどのスクリプトにも対応しており、業務の自動化やカスタマイズも柔軟に行えます。

インターフェースの使いやすさ

初めてのユーザーにも親しみやすいデザインで、リボンやツールバー、コマンドラインなど一般的な要素が揃っています。カスタマイズも容易で、自分の作業スタイルに合わせて調整できます。ただし、AutoCADに長年慣れ親しんだユーザーには操作フローの違いから若干の慣れが必要な部分もあります。

対応OS

Windows、macOS、Linuxに対応しており、マルチプラットフォーム環境での利用が可能です。多様な作業環境やチーム構成に柔軟に対応できます。

主な機能レビュー

2D作図

線、円、寸法記入、ハッチングなどの基本機能が充実。スナップや拘束機能を活用し、精度の高い図面作成が可能です。レイヤー管理やPDF出力にも対応しており、AutoCADユーザーに馴染みやすい操作体系で効率的に作業できます。

3Dモデリング

BricsCADは多彩な3Dモデリング機能を備えています。3D図面ビュー機能や3Dモデリングツール、3D編集ツール、3Dブロック作成など、豊富な機能で立体設計を支援します。また、3Dブロックライブラリやレンダリング用マテリアルも利用可能で、パラメータ設定や拘束条件の管理も簡単に行えます。bricscadの3dモデリング機能を説明する図

BIM機能の対応状況

BricsCADはBIMにも対応しており、IFC形式の読み書きが可能なほか、壁・柱・窓といった建築要素の自動認識や部材作成機能も備えています。建物の階層構造の管理、断面図の生成、コンポーネントの再利用といった実務で必要な機能もサポートされており、基本的なBIMワークフローには十分対応可能です。ただし、Revitのような専用BIMソフトと比較すると、設計の自由度や自動化機能の面ではやや制限がある点も留意が必要です。

bricscadのBIM機能を説明する図

ファイル形式の変換

DWG、DXF、DWT、PDFなどの一般的形式に対応。Pro版以上ではSTEP、IGES、BIM版ではIFCの入出力も可能。異なるDWGバージョン保存にも対応し、他CADや旧環境とのファイル共有が容易です。

カスタマイズ性

LISP、VBA、.NET、C++など多様な言語に対応。繰り返し作業の自動化や独自機能追加が可能です。ツールバーやショートカットの柔軟な変更もでき、Bricsys App Storeから拡張機能を導入し業務の幅を広げられます。

価格とライセンス形態

BricsCADは用途に応じて複数のエディションが提供されており、購入形態としては永久ライセンスと年間サブスクリプション(サブスク)が選べます。これにより、ユーザーは自身の予算や利用期間、アップデートのニーズに応じて柔軟にプランを選択可能です。

bricscadの価格を紹介する図

主なエディションは、2D作図を中心とした「Lite」、3Dモデリングやカスタマイズ機能を追加した「Pro」、BIM機能を搭載した「BIM」、機械設計向けの「Mechanical」、そしてこれら全機能を統合した「Ultimate」です。それぞれの価格は以下の通りです。

プラン名 主な機能 1年サブスクリプション 3年サブスクリプション 永続ライセンス
BricsCAD Lite シングルライセンス 43000 116000 94250
ネットワークライセンス 64500 174000 141375
BricsCAD Pro シングルライセンス 60000 162000 143000
ネットワークライセンス 90000 243000 214500
BricsCAD Mechanical シングルライセンス 120000 324000 266500
ネットワークライセンス 180000 486000 399750
BricsCAD BIM シングルライセンス 126000 340000 279500
ネットワークライセンス 189000 510000 419250
BricsCAD Ultimate シングルライセンス 137000 370000 305500
ネットワークライセンス 205500 555000 458250

ZWCADとBricsCADの比較

互換性

ZWCADはAutoCADに近いUIと操作体系を備えており、メニューやリボンの構成もほぼ同じです。そのため、移行がスムーズで、従来の業務フローを変えることなく使用できます。ダイナミックブロックにも対応しており、図面の整合性を維持しやすくなっています。

一方、BricsCADは外観は似ているものの機能配置や操作フローに差異があり、新しい操作習得が必要です。特にダイナミックブロックの互換性に課題があり、特定の動的パラメータが失われる場合があります。zwcadのインタフェースを紹介する図

bricscadのインタフェースを紹介する図

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パフォーマンス

ZWCADは、並列グラフィック読み込みや並列描画生成、ハードウェアアクセラレーション、増分保存などの技術を活用し、ファイルの開閉から編集、保存に至るワークフロー全体でパフォーマンスを最適化しています。

これにより、BricsCAD V25と比較して、高頻度で行う代表的な操作において57%高速化を実現しており、業界でもトップクラスの効率性を発揮しています。

ZWCAD と BricsCAD の速度比較

2D製図・編集機能の充実度

ZWCADはハッチングの精度やリビジョンクラウド、寸法記入、グリップ編集など細部の2D機能で優れ、操作の安定性と正確性が高いです。

例えば、ハッチング機能においては複雑な境界を正確に処理できるため、都市計画や景観設計などの分野で求められる細かな曲線を含む領域も適切に表現できます。

zwcadとbricscadのインターフェースを対比する図

また、2Dグラフィックの表示品質においても、ZWCADは曲線を含む要素を滑らかで鮮明に描画し、長時間の作業でも視覚的な疲労を軽減する配慮がなされています。

zwcadとbricscadの表示品質を対比する図

これらの点から、ZWCADは設計の基盤となる描画品質や操作の安定性に強みを持っており、日常的な設計業務において信頼性の高い環境を提供しています。

3Dモデリング・BIM・点群処理

BricsCAD Proは3DモデリングやBIM、点群処理に強く、IFC対応や高度な建築設計機能が魅力です。ZWCADの3D・BIM機能は限定的です。

価格面

価格面では、ZWCAD PROはシングルライセンスで108,000円と、BricsCAD Pro(143,000円)よりも導入コストを抑えやすい設定となっています。機能面では、ZWCADは2D作図、ダイナミックブロック対応、AutoCADとの操作性の類似性など、日常的な設計業務に適した機能が充実しています。一方、BricsCAD Proは3DモデリングやBIM関連機能に強みを持ち、より高度な設計ニーズに対応可能です。価格と機能のバランスを踏まえ、自社の業務内容に合った製品を選定することが重要です。

製品(永続ライセンス) シングルライセンス ネットワークライセンス
BricsCAD Lite ¥94,250 ¥141,375
ZWCAD STD ¥103,000 ¥145,000
BricsCAD Pro ¥143,000 ¥214,500
ZWCAD PRO ¥108,000 ¥152,000

関連記事:ZWCADとBricsCADの共通点・相違点は?気になるポイントを徹底比較!

まとめ

総じて言えば、BricsCADは優れた2D CAD製品であり、多OS対応や高度な3D設計、BIMなどの先進機能を必要とするユーザーにとって最適な選択肢です。一方で、2D設計を中心に安定性やコストパフォーマンスを重視する場合は、ZWCADが非常に有力な候補となります。用途や予算に応じて、それぞれの強みを活かした最適なCADソリューションを選ぶことが重要です。以下の図を参考に、ご自身の利用目的に合った製品をお選びください。

利用目的 推奨製品 理由・特徴
2D設計メイン ZWCAD 操作性・編集機能が充実、コスパ良好
予算重視 ZWCAD 競争力のある価格設定
軽量・迅速な移行 ZWCAD AutoCADに近いUI・操作体系、スムーズな切替え
BIM・高度3Dモデリング BricsCAD IFC対応、点群処理、3D機能が豊富
複数OSでの作業 BricsCAD Windows/macOS/Linux対応

 

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