製造業やプラント設備、建設業などの現場では、正確かつ効率的な電気設計が求められます。そこで重要な役割を果たすのが「電気CAD」です。本記事では、電気CADの基本から、業界別のニーズ、必要な機能、おすすめソフトウェアまでを総合的に解説します。

 

電気CADとは何か?

電気CAD(Electrical CAD)とは、回路図や配線図、ラダー図などを作成するための専用CADソフトです。手書きでは煩雑で時間がかかる電気設計作業を、効率的かつミスなく進めるためのツールとして、多くの業界で導入されています。

機械電気CADや建築電気CADとの違い

電気CADは一見すると、機械CAD建築CADと同様に「図面を作成するためのツール」として分類されますが、実際には扱う対象や図面の構成、必要とされる機能が大きく異なります。特に電気設計では、電気シンボルや回路の接続関係、制御盤内部の構成など、独自のルールや要件が多く存在します。以下の表は、電気CADと他の代表的なCADソフトとの違いを比較したものです。

項目

電気CAD

機械CAD

建築CAD

主な図面

回路図・配線図・ラダー図

組立図・部品図・機構設計

平面図・断面図・設備レイアウト

シンボル

電気記号、端子、PLCなど

ボルト、ギア、ベアリングなど

建具、壁、設備機器など

特有の機能

自動接続、クロスリファレンスなど

寸法管理、溶接記号

レイヤー管理、建具表作成

電気CADが必要とされる業種と業務

電気CADは、以下のような幅広い業種で活用されています。特に制御設計や配電、設備管理など、電気回路に関わる作業がある現場では欠かせないツールです。

● 制御設計・電気設計エンジニア:PLC制御盤やラダー図の設計に活用。

● 製造業(産業機械・自動化装置):工場設備や装置の配線設計に対応。

● プラント・建設設備業界:現場設備の電源・信号系統の可視化。

● OEM、FA機器メーカー、盤メーカー:短納期・高精度な制御盤設計に最適。

● 設計BOMや部品リスト管理:回路図と連携して自動生成が可能。

 

電気CADに必要な主な機能とは?

電気CADを選ぶ際は、目的に合った機能を備えているかどうかが重要です。以下に、特に重要な機能をまとめました。

● 回路図・配線図の作図機能:電気シンボルや線の自動接続。

● 部品ライブラリの活用と自動番号付け:効率的な部品配置と管理。

● クロスリファレンス、端子台編集、接続チェック:回路の整合性を確保。

● PLC/I/O配置、ラダー図作成:制御設計に不可欠な機能。

● BOMや部品リストの出力:購買・製造部門との連携強化。

● Excel/PDF/DWG/DXFなど外部ソフトとの連携:他部署とのデータ交換をスムーズに。

 

電気設計におすすめのCADソフト8選

ZWCAD

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ZWCADは、ZWSOFTが独自に開発した高性能な2D汎用CADソフトで、DWG互換性や操作性の高さに加え、コスト効率に優れた点が大きな魅力です。標準状態では機械設計・建築設計向けの汎用CADですが、フレキシブロックダイナミックブロック相当)、パラメトリック設計、スクリプト連携などの機能により、電気設計にも柔軟に対応可能です。

とくに、既存のAutoCADからの移行を検討する企業にとっては、操作感の近さや学習コストの低さ、そして買い切りライセンスによる長期的な費用メリットが高く評価されています

一部のお客様は、ZWCADをベースに電気CADテンプレートやシンボルライブラリを追加して、制御盤設計・配線図・部品表出力などに活用している実績もあります。

一方、ZWCADは電気専用CADではないため、ラダー図、端子台管理、BOM連携などの特化機能は初期状態では搭載されていません。ただし、外部開発やアドオンによるカスタマイズで補うことが可能です。

メリット
  • 高いDWG互換性とAutoCADライクな操作性
  • 柔軟なカスタマイズで電気設計にも対応可能
  • 買い切りライセンスで長期的にコストを抑制可能
  • 機械・建築・電気設計など、部門間で共通導入しやすい統合型CAD
デメリット
  • ラダー図や端子台の専用機能は標準搭載されていない
  • 電気CADとしての活用にはテンプレートやマクロの導入が必要な場合がある
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ECAD

ECAD

ECADは、制御盤や電気回路設計の現場で多く採用されている日本製の電気CADソフトです。現場のニーズを熟知した設計が特徴で、電気シンボルの標準搭載、クロスリファレンス、自動接続、端子台編集、BOM出力など、制御設計に必要な機能が標準で一通り揃っています。

特に、PLC制御盤や産業機械の電気設計を日常的に行う企業にとって、ミスの少ない設計プロセスと自動化された出力機能は作業効率と設計品質の両面で大きなメリットになります。

日本語サポートや教育体制も充実しており、現場担当者でも安心して導入できる体制が整っています。

一方で、ソフト自体の汎用性はあまり高くなく、建築CADや機械CADとの連携は限定的であり、他分野との統合設計には向いていません。また、機能が豊富な分、価格はやや高めです。

メリット
  • 電気設計に必要な機能が標準搭載(BOM出力、端子台編集など)
  • PLC・配線設計に強く、制御設計に特化
  • 日本語UI・サポート完備で導入しやすい
デメリット
  • 建築CADや機械CADとの連携には不向き
  • 機能が多いため初期学習コストがやや高い
  • ライセンスコストはやや高め

CADPAC-CREATOR

CADPAC-CREATOR

CADPAC-CREATORは、建築・機械・電気の3分野に対応できる統合型の国産CADソフトです。電気分野では、ラダー図や端子台編集、接続チェックなど、基本的な電気設計機能を標準搭載しており、建築設備やプラント設計と一括して導入するケースが多く見られます。

特に、同一プロジェクト内で建築図・機械設備図・電気設計図を連携させたいユーザーにとって、マルチCAD環境で統一感のある作業が行える点が大きな魅力です。

ただし、専用電気CADと比較すると、電気設計機能の深度はやや浅く、回路図の自動処理や高機能なBOM機能には制約があります。

メリット
  • 建築・機械・電気を1つのCADで一元管理可能
  • ラダー図や端子台編集など、電気機能も標準搭載
デメリット
  • 電気設計機能は専用CADと比べてやや汎用的
  • 複雑な配線チェックやPLC設計には機能が限定的

plusCAD 電気α

plusCAD-electric

plusCAD 電気αは、制御盤や分電盤の設計を簡単に行えるよう設計された国産の電気CADです。インターフェースが非常にシンプルで、初心者でもすぐに操作できるようになっており、設計現場で時間をかけずに正確な図面を作成したい企業に向いています。

また、テンプレートやシンボル、BOM出力なども一通り備えており、電気設計業務に必要な基本機能を過不足なく搭載しています。

ただし、カスタマイズ性や他システムとの高度な連携には制約があり、大規模案件や多部門連携を前提とした用途には適していません。

メリット
  • シンプルな操作画面で初心者にも扱いやすい
  • 制御盤やラダー図など、中小規模の電気設計に特化
  • テンプレートや自動BOM出力機能を標準搭載
デメリット
  • 機能の拡張性が限られており、大規模案件には不向き
  • 他システムとの連携機能が少ない

KiCad

KiCad

KiCadは、電子回路設計やPCB(プリント基板)設計に特化した、完全無料のオープンソース電気CADソフトウェアです。豊富な部品ライブラリを搭載し、ネットリスト生成や3Dビューによる基板確認など、プロレベルの電子設計に必要な機能を無料で利用できる点が大きな特徴です。

特に、小規模開発・試作・教育用途に適しており、コストをかけずに本格的な回路設計が行えるため、スタートアップや学生に広く支持されています。世界的に活発なユーザーコミュニティが存在し、プラグインやテンプレートなどの資源も豊富に提供されています。

一方、制御盤設計やラダー図、端子台編集などの産業用電気設計機能は備えておらず、工場設備やFA設計には適していません。また、公式の商用サポートは存在しないため、企業利用時には自己責任でのリスク管理が必要です。

メリット
  • 完全無料で使用可能なオープンソースソフト
  • PCBと回路図の一体設計が可能
デメリット
  • 制御盤設計やラダー図など産業用電気設計機能は非対応
  • 商用サポートがなく、導入・運用は自己責任
  • UI習得に少し時間がかかる場合がある

Jw_cad

Jw_cad

Jw_cadは、主に建築設計で利用されてきた国産の無料2D CADソフトウェアです。標準では電気CAD専用の機能は搭載されていませんが、拡張ツールや外部ライブラリを導入することで、簡易的な電気図面作成にも活用できます。無料ながら基本的な2D図面作成機能が充実しており、既存ユーザーが多く情報も豊富なため、初心者から実務者まで幅広く支持されています。また、データが軽く動作も速いため、建築・電気の両方を1つのツールで賄いたい中小規模の現場には重宝されます。

ただし、ラダー図や端子台処理、クロスリファレンスなどの電気CAD専用機能は標準搭載されていないため、電気設計として使用する場合はマクロやシンボルの追加など工夫が必要で、手作業が増える傾向があります。

メリット
  • 完全無料で導入可能
  • 建築との兼用がしやすく、軽量で動作も快適
デメリット
  • ラダー図やBOM出力などの電気専用機能が標準では使えない
  • 電気設計として使うにはマクロやライブラリ追加などの工夫が必要

Quadcept

Quadcept

Quadceptは、電子回路設計とプリント基板設計に特化した高機能な国産CADソフトウェアで、部品管理や3Dビュー、ネットリスト生成など、製品開発に必要な設計業務を一括管理できる点が大きな強みです。特に電子部品メーカーのライブラリと連携し、ハードウェア系スタートアップやIoT機器開発企業に適した設計環境を提供しています。

一方で、制御盤設計や電力系配線など、産業向けの「重電・制御」用途には不向きであり、ラダー図やPLC配置といった工場設備系の設計には機能が合わないケースがあります。

メリット
  • 電子設計・PCB開発に最適化されている
  • 3Dビューや部品DB連携など、製品開発全体をサポート
デメリット
  • PLCやラダー図など、制御設計には機能が対応していない
  • 電気工事や重電系の配線設計には適さない

UnidrafX

UnidrafX

UnidrafXは、電力会社や重電機器メーカーを中心に採用されているハイエンドな電気CADソフトで、ラダー図や接続図、端子台配置などを正確に処理することに特化しています。

とくに大規模な制御盤設計やPLC配線図の自動処理、信号・配線の整合性チェックなどに強みを持ち、電力・重工系の厳格な設計ルールにも対応できます。

ただし、高機能ゆえに価格が高めで、操作習得にもある程度の時間とトレーニングが必要です。

メリット
  • 重電・制御設計に必要なラダー図や端子管理機能が充実
  • 大規模・高信頼性設計に対応可能
デメリット
  • ライセンス価格が高く、導入のハードルが高い
  • 操作習得には専門的な知識が必要

よくある質問

Q1. 無料で使える電気CADはありますか?

はい、KiCadやJw_cadなど、無料で利用できるソフトもあります。ただし、業務利用では機能やサポートに限界があるため、有料版の導入を検討するケースが多いです。

Q2. 電気CADは機械CADと兼用できますか?

一部の汎用CAD(例:ZWCADやAutoCAD)は、電気CADライブラリやプラグインを導入することで兼用可能です。ただし、高度な電気機能(ラダー図やBOM出力など)が必要な場合は、専用ソフトの方が効率的です。

 

まとめ

電気CADは、電気回路や配線図の作成を効率化し、設計ミスの削減や業務の標準化に貢献します。用途や業界に合わせて、必要な機能を備えたソフトを選ぶことが、設計品質と作業効率を左右します。

中小企業から大規模プラントまで幅広く対応可能な選択肢がありますので、ぜひ本記事を参考に、自社に最適な電気CADソフトを見つけてください。

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