田中プレス工業
田中プレス工業

総合金属加工メーカーである田中プレス工業株式会社は、2011年に ZWCAD と ZW3D を導入し、設計作業における快適な操作性と工数削減による業務効率化を実現した。

 田中プレス工業株式会社は1941年に創業し、神奈川県相模原市に本社を置く総合金属加工メーカーです。金型の設計から製品製造まで一貫して行っています。深絞りプレス加工技術には定評があり、他社に先駆け、カラー鋼板による深絞り加工製品(実用新案登録済み)を実現しています。

 2019年には神奈川工業技術開発大賞にて奨励賞を受賞しています。常に、最高の技術と物づくりを追求し、良質な製品とサービスをお客様に提供するため、継続的な維持・改善活動に取り組んでいます。そんな田中プレス工業では、2011年に ZWCAD ZW3D を本格導入しています。

写真1.田中プレス工業の会社・工場

買い切りの永久ライセンスで、CAD運用の年間コストを削減

 田中プレス工業では、以前は、金型の設計にオートデスクのAutoCADを利用していました。また、3次元CADについては、AutoCAD Inventor を使っていました。しかし、CADの運用にかかるコストを極力抑えたいというニーズから、2011年に ZWCAD ZW3D を本格導入しました。

 製造部部長の大野氏は「ZWSOFTへの移行を検討したキッカケは、コストパフォーマンスです。買い切り永久ライセンスのため、運用コストを抑えられます。例えば、ZWCAD AutoCADに比べて、価格が約3分の1と安いです。」と言います。

写真2.製造部 部長の大野氏

 ZWCADに移行することで、CADの利用料を毎年払い続ける必要がなくなりました。また、別途CADデータのビューワーなどの必要はなく、社内の標準ソフトの一つとして位置付けることで、CADの年間の運用コストを減らせています。

 田中プレス工業は、用途や目的に応じて、2次元CAD3次元CADの両方を使い分け利用しています。プレス金型や機械や冶具の設計の際は、主に使い慣れた2次元CADを使って、効率よく設計しています。また、3次元CAD/CAMを用いて、2次元で作図された組図をもとに3Dモデリングを行い、シミュレーションを行ってから、マシニングセンターで加工しています。

1.ZWCADで金型CADを製作

AutoCADと互換性抜群な高速2次元CADで設計業務を効率化

 DWG互換のCADソフトは、さまざまなものが市販されていますが、やみくもにコスト削減のためにAutoCADから移行しても、業務の質を落としたり、生産性を下げては意味がありません。田中プレス工業では、実際に、2011年にZWCADを導入するまで、AutoCADを使っていたため、移行するにあたり、互換性や操作面を大変重視していました。

 ZWCADは、開発当初からユーザーの使いやすさを追求し、使い慣れたインターフェースも含め、多数の機能が搭載されています。DWGとの互換性は非常に高く、AutoCADと同様の使い慣れた操作やコマンドをそのまま活用できます。

 生産技術部部長  品質保証課長である生方氏によると、「ZWCADは、AutoCADとほぼかわらず、何の違和感もなく移行できました。他の社員からも戸惑うことなく利用できたと聞いています」と言います。

写真3.生産技術部部長 兼 品質保証課長である生方氏

 また、田中プレス工業では、ZWCADを使うパソコンとして、ワークステーションではなく一般的なノートパソコンを利用しています。ZWCADの強みの一つに「軽さ」があります。処理スピードが圧倒的に早いため、図面の切り替えやズーム表示などを速くスムーズに行え、設計作業において快適な操作性を実現しています。そのためスペックが高いワークステーションを必要としていません。大野氏によると「表示は速いです。一般的な性能のパソコンで問題なく動いています」とのことです。

お客様との3D CADデータのやりとりも問題なし

 田中プレス工業では、お客様とCATIAをはじめ、異なる3D CADで作られた3Dデータのやりとりをしています。そのため、使用している CAD の違いやバージョンの違いなどで、データが受け取れない、あるいは相手先にスムーズに渡らないということを避けたいというニーズがありました。

 また、IGESSTEP などの一般的な中間フォーマットに変換した場合、受け取った3D CADデータの品質が劣化してしまい、面が壊れていたり、形状を正しく認識していない等の問題が起きる可能性も気にされていました。

 そこで、田中プレス工業では、中間フォーマットだけではなく、各CADのネイティブデータを円滑に読み込める ZW3D を導入しました。ZW3Dは多様なCADに対応しているため、データ変換の問題またはデータ欠損を気にする必要がなくなりました。また、最終製品の表面形状を構成する曲面である意匠面をなめらかに表現するといったことも問題ありません。

 生方氏は「ZW3Dのいいところは、データのトランスレータ(コンバート)機能です。CADデータの変換が強みでお客様とのやりとりがスムーズにできます。これも選択した理由の一つです」と言います。

 ZW3Dにより、多くの設計製造現場で抱える、データの修正に思いのほか時間と手間を費やしているといった問題を回避することができたのです。

 

CAD/CAMにより、工数削減による業務効率化

 田中プレス工業では、以前、工作機械を動かすために手入力等で加工プログラム(NCデータ)の作成を行っていました。ただ、工程が複雑になると、計算等に時間がかかり、ミスする可能性もありました。

 そこで、CAD/CAMソフトを使い、2次元で作図された組図をもとに3Dモデリングを行い、NCデータの作成を行うプロセスに変更しました。その結果、入力間違えなどのリスクを抑え、NCデータ作成時間を大幅に短縮して、製作工程に移れるようになりました。

 大野氏によると「ZW3Dを導入してから、データ作りが楽になりました。全部、手仕事だったものから、ソフトを使って3Dデータからプログラムに変換させる流れにすることで、だいぶ工数の削減になっています」とのことです。田中プレス工業では、製造業務の作業時間を大幅に削減して、業務効率化を実現しました。

2.ZW3D

リバースエンジニアリングで金型の手仕上げ形状をCADへ反映

 田中プレス工業では、金型の3Dデータを残すため、リバースエンジニアリング用途でも ZWSOFT を活用しています。精度の高いプレス製品が生産可能な金型製作の場合、フィレット部分を手作業で滑らかにしていくといった修正作業があり、製作に時間がかかります。そのため、手仕上げされた金型の形状を3Dスキャナーで測定し、取得した点群データからCADデータを作成しています。金型の手仕上げ形状をCADデータに反映することで、スペアの金型(二番型)の製作の工数を削減しています。

 大野氏は「手仕事だったものが、CADデータを実際の金型に近づけることで、2つ目を作るのはだいぶ楽になりました。面貼り機能が特にいいですね。具体的な工数、大きさにもよりますが、数時間単位で削減できています。また、金型破損があっても、データがあれば再生できるため、いつも同じものを提供できるという良さがあります」と語ります。田中プレス工業では、このように熟練の技をデジタル化するDX(デジタルトランスフォーメーション)も進め、生産性向上を図っています。

スタッフの迅速なサポート対応

 CAD/CAMユーザーは、どのソフトを講習会で学んだとしても、現場ではさまざまな問題が出てきます。そういったときに、すぐに問題を解決できるパートナーがいると安心できます。

 大野氏は「何か問題があったときにも、ZWSOFTのスタッフさんがすぐに対応してくれる安心感は大きいです。ZWSOFTさんから電話がかかってきたり、かなりフォローをしていただいたこともあります」と言います。

写真4.ZWSOFTのスタッフとのやりとり

 最後に、大野氏はこう締めくくります。「今では、ZWCADZW3Dは業務になくてはならない存在です。弊社の今後の方針としても、こういったデータを積極的に活用していきたいですし、3Dプリンターや3Dスキャナー等をさらに活用し、業務効率化、DXを進めていきたいです」。田中プレス工業は、これからも総合金属加工メーカーとして進化し続けていきます。

 

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