SOLIDWORKSの特長

SOLIDWORKSは、Dassault Systèmes SolidWorks Corporationが開発・販売する3D CADソフトウェアです。世界的に広く普及しているミッドレンジCADの代表格であり、日本国内でもシェアが高く、教育現場から大企業まで幅広く利用されています。その強みは「直感的な操作性」「幅広い適用領域」にあり、CADの標準的存在といえます。

強み

● ユーザーに優しい操作性

WindowsライクなUIを採用し、直感的な操作が可能です。アイコンやマウスジェスチャーを活用することで効率的に作業を進められ、習得コストの低さが長年の普及につながっています。

グラフィックエリアに次の操作を行うアイコンが表示

図1.グラフィックエリアに次の操作を行うアイコンが表示

 

● 設計意図を保持したモデリング

履歴ベース・フィーチャーベースモデリングにより、設計変更が容易です。フィーチャーツリーを通じて設計プロセスを追跡でき、大規模アセンブリや干渉チェック、モーション解析まで統合的に対応できます。

フィーチャーマネジメントツリーによる設計手順の表示

図2.フィーチャーマネジメントツリーによる設計手順の表示

 

● 外部データ連携の強さ

多くのCADフォーマットに対応し、PDFや画像形式にも変換可能。非CADユーザーとの情報共有が容易で、社内外のコミュニケーションを支援します。

● CAEやPDMとの統合

SOLIDWORKS Simulation、Flow Simulation、Plasticsなど解析ツールを統合。さらにPDMや3DEXPERIENCEと連携することで、クラウドベースのデータ管理や協働設計が可能になります。

● 豊富な教育リソースとコミュニティ

認定資格(CSWA、CSWP)やオンライン教材が整備され、教育現場で広く普及。企業にとっても人材育成が容易で、ユーザーコミュニティが情報共有を支援しています。

課題

  • 複雑な履歴モデルでは変更時にエラーが発生することがある。
  • 大規模アセンブリ設計では処理が重くなる傾向がある。
  • 製品構成が多種あるので、導入時に最適なプランを選ぶ必要がある。
ソリッドワークス スタンドアロン 機能 ライセンス価格
SOLIDWORKS Standard 3D CAD基本機能 1,035,000円(税別)
SOLIDWORKS Professional

3D CAD基本機能 +

ADライブラリ(SOLIDWORKS Toolbox)

製造コスト検証(SOLIDWORKS Costing)

設計ルール確認(Design Checker)

フォトリアリスティックな高度なレンダリング(SOLIDWORKS Visualize)

1,239,000円(税別)
SOLIDWORKS Premium

3D CAD基本機能 + Professional機能 + 時間ベースのモーション解析

線形静解析(部品とアセンブリ)

ルーティング:電気ハーネス、配管、チューブ、ダクト持続可能性分析

1,659,000円(税別)

                                       ※別途保守費用が必要です

表1.ZW3Dの製品グレード

評価

総じてSOLIDWORKSは「グローバルスタンダードCAD」であり、中小企業から大企業まで幅広く適応。教育・CAE統合・データ管理の観点で優れており、普及度とサポート体制を重視する場合に有力な選択肢となります。

ZW3Dの特長と評価

ZW3Dは中国のZWSoft社が開発するCAD/CAM統合ソフトです。SOLIDWORKSがグローバル標準として確立されている一方で、ZW3Dはより「現場の生産性」を重視したアプローチを特徴としています。特に金型設計や加工現場との連携、中小製造業に適した導入しやすさで注目を集めています。

直感的で扱いやすい操作性

ZW3DもWindowsベースUIを採用しており、操作は直感的です。SOLIDWORKSと同様に習得しやすく、基本操作で迷うことはほとんどありません。さらに開発元はユーザーフィードバックを重視しており、バージョンアップごとに操作性が改善されています。これにより、新規導入時でも短期間で現場に浸透しやすい環境が整っています。

ZW3D 直感的に操作可能なUI

図3. 直感的に操作可能なUI

柔軟なモデリングと強力なデータ互換性

● ハイブリッドモデリング

ZW3Dはソリッド、サーフェスの両方に機能し、組み合わせてモデリングする機能を持っています。また直接編集(ダイレクト編集)する機能もあり、ダイレクト編集内容は履歴として残ります。 ダイレクト編集機能は、派生設計や試作設計の効率化に大きく貢献します。

● 強力なヒーリング機能

外部CADデータを取り込む際に形状の不具合を自動修正できるため、異なるCADを扱う場面でもトラブルが少ないのが特徴です。多様な取引先を持つ中小製造業にとっては、設計データのやり取りを円滑に進められる強みとなります。

ZW3D 押し出し量をモデルから直接編集(ダイレクト編集)

図4. 押し出し量をモデルから直接編集(ダイレクト編集)

ZW3D インポートファイルのヒーリングによるジオメトリチェック

図5. インポートファイルのヒーリングによるジオメトリチェック

CAD/CAM統合による現場密着性

製品グレードによって搭載機能が異なりますが、CADとCAMが統合されているという点がZW3Dの特徴だといえます。です。設計からNC加工データ作成まで一気通貫で対応可能であり、別途CAMソフトを導入する必要がありません。金型設計モジュールも充実しており、パーティングライン生成、コア・キャビ分割、電極設計など、金型製作に不可欠な機能を備えています。これにより、試作から量産までのリードタイムを大幅に短縮できます。

CAE機能の搭載

ZW3Dにも解析機能が搭載されています。構造解析を中心としたCAE機能により、基本的な強度検証や変形シミュレーションを行うことが可能です。中小規模の製造業にとっては、外部ソフトに頼らず設計段階でシンプルな解析を完結できる点は大きな利点です。

ZWSOFT社にはPHOENICSといわれる汎用流体解析ソフトウェアがあります。これは、圧縮性流体/非圧縮性流体、ニュートン流体/非ニュートン流体、層流/乱流、単相流/多相流、燃焼/化学反応、自由表面流、潜熱などの解析に対応しています。将来的はZW3Dとの連携もあるかもしれません。

ZW3Dインポート搭載のCAE

図6. ZW3Dインポート搭載のCAE

コスト面での優位性

ZW3Dはライセンス費用・更新費用が低く、初期投資を抑えられます。CADとCAMを別々に揃える必要がないため、総合的な投資額を大幅に削減でき、短期間で投資回収が可能です。スタートアップや中小企業にとって、導入障壁の低さは非常に大きな魅力です。

ZW3D スタンドアロン 機能 ライセンス価格
ZW3D Lite

3D CAD基本機能

   • 部品モデリング

   • アセンブリ

   • 2D 図面

313,000円~(税別)
ZW3D Standard

3D CAD基本機能 +

   • 板金

   • 溶接

   • 構造設計

   • 点群データ取込み

   • 部品線形解析

604,000円~(税別)
ZW3D Pro

3D CAD基本機能 + Standard機能 +

   • 金型設計

   • 電極設計

903,000円~(税別)
ZW3D Premium

3D CAD基本機能 + Pro機能 +

   • CAM機能

1,683,000円~(税別)

        ※別途イヤーメンテナンス購入により次バージョンへのバージョンアップ可能(不要であれば購入不要)

表2. ZW3Dの製品グレード

zw3d

コスパ最強の高性能 All-in-One 3D CAD/CAE/CAM

永久ライセンスで313,000円~

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課題

● CAE機能の拡充余地

流体解析や樹脂流動解析といった高度なCAEについては、現状では外部ソフトとの併用が中心です。しかし、ZWSoftは機能拡張を継続しており、今後は解析領域のさらなる充実が期待されます。

● 大規模アセンブリへの進化可能性

現在は大規模アセンブリ設計においてSOLIDWORKSに一日の長がありますが、ZW3Dも処理能力の改善に取り組んでおり、バージョンアップにより大規模設計への対応力が強化されつつあります。

● 教育・コミュニティの拡大基盤

教育リソースやコミュニティ基盤は発展途上にありますが、ユーザー数の増加とともに情報共有の環境が拡大しつつあります。特にアジアを中心に導入実績が増えているため、日本でも今後さらに教育支援体制が整う可能性が高いといえます。

評価

ZW3Dは「CAD/CAM統合」「柔軟なモデリング」「低コスト」「基本CAE対応」という実務的な強みを兼ね備えています。特に中小製造業や試作現場では、導入のしやすさと即戦力性により高い費用対効果を発揮します。グローバルでの普及度はこれからですが、実務現場に直結する生産性向上という観点では非常に有力な選択肢といえます。

総合比較

SOLIDWORKS

グローバルスタンダードCAD。CAE・教育・データ管理に強く、複雑な開発や大規模プロジェクトに最適。

ZW3D

CAD/CAM統合、柔軟なモデリング、低コスト、基本CAEを備えた実務志向CAD。中小製造業や試作現場で即戦力となる。

導入を検討する際には、何を重視するかが重要な視点となります。

たとえば、グローバルでの普及度や大規模開発プロジェクトへの適応力を最優先するのか、それとも現場で直ちに活用できる実効性や投資対効果を重視するのかによって、選択の方向性は変わります。特に中小製造業においては、短期間での投資回収や設計から加工までのスピード感が競争力の鍵となるケースが多く見られます。

ZW3Dは、CADとCAMを統合する機能を備え、基本的なCAE解析まで一貫して行える環境を持つことが可能であるため、「設計から製造へ直結する即戦力ツール」として導入効果を実感しやすい環境を提供します。

さらに大きな特長として、金型設計における優位性が挙げられます。

つまり、導入にあたって「費用対効果」「現場での即効性」「多様な設計データとの協調性」「金型設計への強さ」を重視する企業にとって、ZW3Dは非常に実践的かつ有力な選択肢となるでしょう。

注)CAD・CAM統合機能は標準搭載ではありません

観点 SOLIDWORKS ZW3D
位置づけ グローバルスタンダードCAD 実務志向のCAD/CAM統合ツール
強み CAE、教育、データ管理に強い

CAD/CAM一体型、柔軟なモデリング、

低コスト、基本CAE搭載

適応力 複雑な開発、大規模プロジェクトに最適 中小製造業や試作現場で即戦力
普及度 世界的に広く普及、グローバルでの信頼性が高い ローカル導入に適し、短期間で効果を実感しやすい
投資効果 大規模プロジェクトでの長期的効果 短期間での投資回収が可能
スピード感 大規模開発における体制強化 設計から加工まで一貫、迅速な対応が可能
特長分野 総合的なエンジニアリング管理 金型設計に強み、製造直結の即効性
適した企業 グローバル展開や複雑開発を行う中堅中小大手 費用対効果・即効性・金型設計を重視する中小製造業

筆者プロフィール

土橋 美博

半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカーを経て、「メイドINジャパンを、再定義する。」有限会社スワニーに入社。CIOとして最新デジタルツールによるデジタルプロセスエンジニアリング推進に参画する。

・ITコーディネータ

・二級知的財産管理管理技能士

・有限会社スワニーCIO

・マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 パートナーエグゼクティブコンサルタント 3D設計プロモーター

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