機械設計と聞くと、3D CADでモデルを作成したり、図面を描いたりする作業を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、本来の機械設計とは単なるCAD操作ではありません。

必要な機能を、安定した品質と製造可能な構造で実現するためのプロセスそのものが機械設計です。

設計手順が不十分な場合、試作や量産の段階で次のような問題が発生します。

  • 部品同士が干渉して組み立てられない

  • 必要な動きが実現できない

  • 強度や剛性が不足する

  • メンテナンスや組立が困難になる

これらの問題の多くは、図面作成のミスではなく、設計プロセスの不足によって生じます。本記事では、単なる手順の説明ではなく、実務に基づいた「設計の進め方」として整理します。

 

要求仕様の整理 ― 設計の出発点

すべての機械設計は、「何を実現するのか」を明確にすることから始まります。これを要求仕様の整理と呼びます。主に整理する内容は次の通りです。

  • 製品の目的(固定する、搬送する、保護する、位置決めするなど)

  • 必要な精度や耐久性

  • 使用環境(温度、振動、荷重など)

  • サイズ制約

  • コストや製造方法

例えば、

  • カバーであれば「内部部品・アセンブリを保護する

  • フレームであれば「機構を正確な位置に保持する

  • ブラケットであれば「部品を確実に固定する

といった役割があります。

この段階が曖昧なまま3D CADで形状を作り始めると、後から大きな修正が必要になります。設計の品質は、この要求仕様の明確さによって決まると言っても過言ではありません。

構想設計 ― 機能を構造に変換する

要求仕様が決まったら、それを実現する構造を検討します。これが構想設計です。

ここでは、製品全体の基本構成を決定します。

例えば、

  • どこで固定するか

  • どこで支持するか

  • どの方向に動くか

  • どのように組み立てるか

といった、機械の骨格となる構造を決めます。

この段階では、詳細な寸法までは決める必要はありません。簡単なスケッチや簡易的な3Dモデルで、構造の成立性を検討します。

ZW3D3D CADアセンブリ機能を使用すれば、部品配置を立体的に確認しながら構想を検討できます。2D図面では把握しにくい空間関係も、3Dモデルにより直感的に理解できます。

ただし、複雑な機構であれば、手描きや2D CADで描く方が効率的であると筆者は考えます。

3Dによる位置決め機構の構想図

図1 3Dによる位置決め機構の構想図

2Dによるによる位置決め機構の構想図

図2 2Dによるによる位置決め機構の構想図

基本設計~詳細設計 ― 成立性と製造性を同時に詰める

構想設計で決めた構造が、実際に成立するかを確認しながら具体化していく工程が基本設計から詳細設計です。

実務では、この2つを明確に分けるというよりも、「成立性の確認」と「形状の具体化」を同時に進めることが多くなります。

設計を進める上での主な確認ポイントは以下です。

  • 部品同士が干渉しないか

  • 必要なクリアランスが確保されているか

  • 組み立てが可能か

  • メンテナンス性が確保されているか

ZW3Dでは、アセンブリ上でこれらをリアルタイムに確認できます。

特に干渉チェック機能により、部品同士の接触や重なりを設計段階で検出できるため、試作前に問題を潰すことが可能です。

3D CADの価値は「作る前に成立性を検証できること」にあります。

干渉チェック画面

図3 干渉チェック画面

干渉チェック後の修正済み3Dアセンブリモデル

図4 干渉チェック後 アセンブリ図面

これにより、試作前に問題を発見し、設計段階で修正することが可能になります。
3D CADの最大の価値は、「作る前に確認できること」にあります。

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詳細設計 ― 製造を前提とした形状決定

成立性が確認できた構造に対して、実際に製造できる形状へ落とし込むのが詳細設計です。

ここでは以下の要素を具体的に決定していきます。

この詳細設計が3D CADによる設計を行う上で課題だと筆者は考えます。

詳細設計で必要な項目は以下の内容です。

  • 寸法・公差・幾何公差の設定

  • 材料の選定

  • 板厚・断面形状の決定

  • 剛性の検討

  • 固定方法の決定(ねじ・キー・圧入など)

  • 加工方法の検討(切削・板金・成形など)

この「作りこみ」とも言える詳細設計は「3Dパーツモデルで行うのか、2D図面作成で行うのか、いずれでしょうか。」

詳細設計は、3Dモデル段階でどこまで完結させるかが重要です。

不足している場合は、2D図面化の段階で補完されることになります。

筆者はこれまで、ボトムアップ設計を基本として設計を行ってきました。

まず3Dパーツモデルで基本設計・詳細設計を行い、その後アセンブリを構築し、干渉チェックを実施します。

さらに、3Dパーツモデルを2D図面化する中で、設計要求仕様を反映した製造可能な部品設計へと仕上げていきます。

これらを3Dパーツ設計の段階で完結できることが理想であり、

現在も目標としています。3Dパーツ設計例

図5 3Dパーツ設計例

3Dパーツからの2D図面化

図6 3Dパーツからの2D図面化

CAEによるクランプ部品の強度解析

図7 CAEによるクランプ部品の強度解析最終的な2D図面による組立図

図8 最終的な2D図面による組立図

トップダウン設計とボトムアップ設計

ZW3Dは、機械設計で重要な2つの設計手法に対応しています。

トップダウン設計

製品全体の構造を先に決め、そこから部品を設計する方法です。

 

メリット:

  • 全体の整合性を保ちやすい

  • 設計変更に強い

ZW3Dでは、アセンブリを基準に部品を作成できます。

 

ボトムアップ設計

個々の部品を作成し、それを組み立てる方法です。

 

メリット:

  • 標準部品を活用しやすい

  • 設計が容易

ZW3Dのアセンブリ拘束機能により、部品を正確に配置できます。

まとめ ― 機械設計は検証プロセスである

従来は、図面完成 → 試作 → 問題発見 という流れでした。しかし3D CADでは、設計 → 確認 → 修正 を設計中に繰り返すことができます。

ZW3Dでは、干渉確認・組立性確認・寸法確認を設計時に行うことができます。これにより、製作段階での手戻りを大幅に削減できます。3D CADは単なる作図ツールではなく、「設計検証ツール」だと言えます。

ZW3Dは、設計に必要な機能を統合した3D CADです。

主な機能:

  • 3Dモデリング

  • アセンブリ設計

  • 干渉チェック

  • 図面作成

  • BOM作成

アセンブリ側の変更は部品にも自動反映されるため、設計変更時の不整合を防ぐことができます。

 

あらためて機械設計の基本手順について整理します。

  1. 要求仕様の整理

  2. 構想設計

  3. 基本設計/詳細設計

  4. 検証と修正

  5. 図面化

この一連の流れを3D CADで一貫して管理することで、

  • 設計品質の向上

  • 手戻りの削減

  • 開発期間の短縮

を実現できます。

機械設計とは、単に形状を作ることではありません。

機能を成立させる構造を構築し、その成立性を検証し続けるプロセスです。

ZW3Dを活用することで、このプロセスを効率的かつ確実に実行することができます。

筆者プロフィール

土橋 美博

半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカーを経て、「メイドINジャパンを、再定義する。」有限会社スワニーに入社。CIOとして最新デジタルツールによるデジタルプロセスエンジニアリング推進に参画する。

・ITコーディネータ

・二級知的財産管理管理技能士

・有限会社スワニーCIO

・マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 パートナーエグゼクティブコンサルタント 3D設計プロモーター

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