iCAD-SXの特長

iCAD-SXは富士通Japan株式会社が開発・販売する国産3D CADソフトウェアです。日本の装置産業(半導体製造装置、搬送装置、工作機械など)に特化して発展してきた歴史を持ち、特に「大規模アセンブリの高速処理」に優れる点で国内メーカーから高く評価されています。非履歴モデリングと独自の形状処理技術により、大規模組立を効率的に進められることが最大の特長です。

大規模アセンブリの高速処理

iCAD-SXは数万点規模のアセンブリでも軽快に動作する性能を備えています。履歴ベースのCADでは設計変更のたびに再構築処理が必要ですが、iCAD-SXは「非履歴モデリング」を採用しており再構築が不要。設計変更が頻発する装置産業の現場で高い効率性を発揮します。

さらに「CGS」と呼ばれる独自技術により、装置設計で多用される単純形状の編集を直感的に行うことが可能。大規模アセンブリでも軽快な操作性を維持できます。

レイアウト設計の効率化

iCAD-SXは「2D感覚で進められる3D設計」が大きな特徴です。構想段階で大まかな部品を仮配置し、干渉確認を行いながら全体レイアウトを決定。その後詳細設計へ移行するスタイルは、日本の装置設計に適したワークフローといえます。

また、「切り出し機能」によりアセンブリから部品を展開でき、従来の2D CADライクな感覚で操作可能。2Dに慣れた設計者にとって馴染みやすい環境を提供します。

業界特化機能とデータ管理

● 配管・配線ルーティング

干渉確認を行いながら効率的に設計可能。装置設計の現場に直結する機能です。

データ管理・CAE連携

PDM「COLMINA CDM」、CAE「COLMINA CAE」や「ANSYS」との連携が可能。 外部ツールとの協調を重視した仕組みを備えています。

ICAD-SXのモデリングイメージ(左)とPDMへの構成部品管理イメージ(右)

図1. ICAD-SXのモデリングイメージ(左)とPDMへの構成部品管理イメージ(右)

評価

iCAD-SXは「国内装置メーカーにとって最適なCAD」であり、特に大規模アセンブリ処理能力は他のCADでは代替が難しい存在です。一方で、自由曲面や意匠デザインには向いていません。

海外拠点との協業では国際的に普及したCADのほうが優位な場面もあります。

CAEやCAM統合は外部依存ですが、装置産業特化という設計思想を理解すれば、大きな強みを発揮できるCADです。

いわば装置設計機能に特化した3D CADといえるでしょう。

ICAD-SX ローカルライセンス 機能 ライセンス価格
iCAD SXスタンダード版 iCAD-SX基本機能

約140万円(税別)

※参考情報

iCAD SX プロフェッショナル版

iCAD-SX基本機能 +

動作検討機能

配管設計機能

配線設計機能

約170万円(税別)

※参考情報

iCAD SX マイスター版

プロフェッショナル版 機能 +

制御デバッグ機能

電気回路設計

約200万円(税別)

※参考情報

                                     注)ライセンス価格は概算となります

表1.iCAD-SX 3Dモジュールタイプ

ZW3Dの特長と評価

ZW3Dは中国・ZWSoft社が開発するCAD/CAM統合ソフトです。グローバルでの普及度は発展途上にあるものの、「低コスト」「CAD/CAM一体型」「柔軟なモデリング」を強みに、中小製造業や金型設計分野で注目を集めています。特に「設計から加工までをワンストップで対応できる実務的な即戦力ツール」として評価が高まっています。

操作性とモデリング

  • WindowsベースのUIで直感的に操作可能。
  • 履歴ベースとダイレクト編集機能があるため、設計変更や派生設計に柔軟に対応できます。
  • 外部CADデータの取込時には自動修正できる強力なヒーリング機能を搭載。異種CADが混在する現場に強みを発揮します。
  • ソリッド・サーフェスを統合的に扱えるため、自由曲面設計にも対応可能。
ZW3Dのサーフェス機能により意匠設計が可能

図2 ZW3Dのサーフェス機能により意匠設計が可能

CAD/CAM統合と金型設計

ZW3Dの最大の特長は、CAM機能を標準搭載している点です。設計からNC加工データ作成まで一気通貫で行えるため、追加のCAMソフトは不要。製造現場で即効性を発揮します。

ZW3Dには射出成形金型設計を効率化する専用モジュール「ZW3D Mold」が標準で備わっています。製品形状から自動でパーティングラインを抽出し、コア・キャビの分割をスムーズに行えるほか、アンダーカット検出や抜き勾配解析など、設計初期で必要となる検討を効率的に実施可能です。さらに冷却回路やスライド構造の設計にも対応し、射出成形に不可欠な要素を網羅しています。また、電極設計や標準部品ライブラリも利用できるため、金型部品の作成や加工準備までを一貫して支援します。CAM機能と統合されている点も大きな特長で、設計データから直接NC加工データを生成でき、金型設計から製造までのリードタイム短縮を実現します。コストを抑えつつ射出成形金型の実務に即した設計環境を提供する点で、中小製造業や試作現場にとって実践的なツールといえるでしょう。 またPDM環境やクラウド保存環境を持っていることも特徴のひとつといえます。

3D CADとCAMの統合環境をもつZW3D

図3 3D CADとCAMの統合環境をもつZW3D

 ZW3DのMOLD機能

図4 ZW3DのMOLD機能

コスト面の優位性

ZW3Dはライセンス・保守費用が低く、CADとCAMを別々に導入するよりも大幅に投資コストを削減可能です。中小製造業やスタートアップでも導入しやすく、短期間で投資回収できる点は実務面で大きな利点です。

ZW3D スタンドアロン 機能 ライセンス価格
ZW3D Lite

3D CAD基本機能

   • 部品モデリング

   • アセンブリ

   • 2D 図面

313,000円~(税別)
ZW3D Standard

3D CAD基本機能 +

   • 板金

   • 溶接

   • 構造設計

   • 点群データ取込み

   • 部品線形解析

604,000円~(税別)
ZW3D Pro

3D CAD基本機能 + Standard機能 +

   • 金型設計

   • 電極設計

903,000円~(税別)
ZW3D Premium

3D CAD基本機能 + Pro機能 +

   • CAM機能

1,683,000円~(税別)

        ※別途イヤーメンテナンス購入により次バージョンへのバージョンアップ可能(不要であれば購入不要)

表2. ZW3Dの製品グレード

課題と将来展望

  • 高度CAEは外部ソフトに依存する部分がありますが、バージョンアップで機能拡充が進んでいます。
  • 大規模アセンブリ設計の専用性をiCAD-SXは持っていますが、ZW3Dも対応可能であり、処理能力の改善に取り組んでいます。
  • 国内コミュニティや教育基盤は発展途上ですが、導入企業が増えるにつれてサポート体制の拡大が期待されます。

評価

ZW3Dは「CAD/CAM統合」「金型設計」「低コスト導入」の三拍子が揃った実践的なCADです。

大規模アセンブリ特化のCADにはスピード性で及ばない部分もありますが、

中小製造業や試作現場では即効性のある解決策を提供し、現場の生産性を大きく向上させます。

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総合比較

iCAD-SXとZW3Dは、ともに装置設計や製造業の現場で活躍できる3D CADですが、その特徴には違いがあります。

iCAD-SX

大規模アセンブリ処理における軽快な動作と、2D感覚で進められる3D設計は国内装置設計に最適です。装置産業特化という思想のもと、日本の設計現場に根ざした効率的なワークフローを実現しています。配管・配線、PDMやCAEとの連携など、業界に即した機能を備えている点は他のCADでは代替しにくい強みといえます。

ZW3D

一方でZW3Dは、CADとCAMを標準で統合し、設計から加工までを一気通貫で対応できるのが大きな特長です。さらに自由曲面設計や金型設計機能を強化しており、特に試作や量産準備のスピード化に直結します。ライセンスや保守費用も抑えられており、中小製造業でも導入しやすい点は大きな利点です。

観点 iCAD-SX ZW3D
位置づけ 装置産業特化CAD CAD/CAM統合型CAD
強み

大規模アセンブリの軽快処理、2D感覚の3D設計

設計~加工一貫対応、

CAD/CAM搭載可能

適応分野 国内の装置設計に最適、配管・配線、PDM/CAE連携 試作、金型設計、量産準備のスピード化
ワークフロー 日本の設計現場に根ざした効率的な流れ 設計から製造直結の即効性
コスト面

比較的高価格

(大手装置メーカー向け)

ライセンス・保守費用が低く導入しやすい
特長分野 大規模装置設計、業界特化機能 自由曲面設計、金型設計、CAM統合
将来性 国内装置産業で安定した利用基盤 教育基盤やCAE対応の進化が期待される
適した企業 大規模アセンブリや装置設計を重視する大手企業 中小製造業、金型設計や現場即応性を重視する企業

表3.iCAD-SXとZW3Dの比較

導入を検討する際には、何を優先するかが重要な視点となります。

たとえば、大規模アセンブリ処理や装置産業特化を重視するならiCAD-SXが適しており、費用対効果や現場即応性、設計から製造までの一貫性を重視するならZW3Dが有力な選択肢となります。

特に中小製造業や金型設計の分野では、ZW3Dが備える「即戦力」「低コスト」「CAD/CAM一体型」という強みが競争力向上に直結します。さらに教育基盤やCAE対応など、今後のバージョンアップでの進化も積極的に進められており、将来性にも期待できるでしょう。

筆者プロフィール

土橋 美博

半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカーを経て、「メイドINジャパンを、再定義する。」有限会社スワニーに入社。CIOとして最新デジタルツールによるデジタルプロセスエンジニアリング推進に参画する。

・ITコーディネータ

・二級知的財産管理管理技能士

・有限会社スワニーCIO

・マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 パートナーエグゼクティブコンサルタント 3D設計プロモーター

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