はじめに
3D CADの操作を学習する題材として「コップ（マグカップ）」をモデリングしていくプロセスを解説していきます。（最後に動画もあります。）
これから作成するコップは、底面が四角の形状で、上面を円形にします。3D CADで断面形状が変化する立体を作成する場合には、「ロフト」コマンドを一般的に使用します。持ち手の部分は、「スイープ」コマンドを使って作っていきます。スイープは、断面（プロファイル）をパス（線）に沿わせて形状を作成することができます。最後にコップの表面に文字を装飾して完成です。
世の中には、様々な3D CADソフトがありますが、今回は、30日間の無料体験版をダウンロードして使うことができる「ZW3D」を例に紹介をしていきます。ZW3Dは、一般的な3D CAD機能が充分に搭載されており、操作画面が分かりやすく、使いやすいため、初心者が学びやすい3D CADになっています。
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コップのベース形状をロフトで作成
スケッチとロフトを使用してコップの外形の基本を作成していきます。
1-1. XY平面にスケッチを開始します。
1-2. 矩形コマンドを使用して原点を中心に長さ40mmの正方形を描いていきます。
1-3. スケッチを終了します。
1-4. コップの上面のスケッチを描くための平面を作成します。「データム平面」をクリックし、「オフセット平面」からXY平面をクリックして選択後、値に「100」mmを入力します。
1-5. 作成した平面にスケッチを開始して、原点を中心とした直径80mmの円を作成します。
1-6. スケッチを終了します。
1-7. 「ロフト」コマンドを使用して立体化します。ロフトを選択実行し、作成した四角のスケッチを選択しEnterで確定後、次に円のスケッチを選択し、形状がねじれないように始点を選択します。
入力の確定はEnterキーで行える他、マウスホイール（中ボタン）をクリックすることでも確定・実行することができます。他にもマウスホイールのクリックは、実行された直前のコマンドを呼び出しもできます。
1-8.「 シェル」コマンドで上面を開口面として内側に厚さ2mmで、くり抜きます。
1-9. コップのベース形状の完成です。作成した平面を非表示（要素ブランク）にします。
持ち手の作成
コップの持ち手を作成していきます。
2-1. 正面（XZ平面）にスケッチを開始し、持ち手のパス（線）をスプラインコマンドで描きます。
2-2. 作成したスプラインは、点のドラッグや点をクリックした際に表示される水色の矢印や点をドラッグすることで調整できます。調整ができたらスケッチを終了します。
2-3. 持ち手の断面形状をスケッチするための平面を作成します。 「データム平面」をクリックし、「曲線上」から作成したスケッチをクリックして選択後、値に「0」を入力しOKを押します。
2-4. 作成した平面にスケッチを開始して、持ち手の断面形状として、矩形を作成します。
2-5. スケッチを終了し、「スイープ」コマンドで持ち手を作成します。
※境界を設定（手順⑥～⑧）することで、コップの内側部分にできる持ち手の形状を除去して作ることができます。
コップの持ち手の形状を修正したい場合には、ZW3Dの場合、行った作業は画面左側の「マネージャ」に履歴として保存されています。ダブルクリックすることでスケッチやフィーチャ（作業）の編集を行うことができます。
2-6. 持ち手のエッジ４箇所にフィレットで半径2ｍｍの丸みを付けます。
2-7. コップの持ち手の完成です。作成した平面を非表示（要素ブランク）にします。
コップの装飾
コップの表面に文字を追加し装飾します。
3-1. 正面（XZ平面）にスケッチを開始し、「スケッチ テキスト」を使用して文字を入力します。
3-2. スケッチを終了して、「エンボス」コマンドで、コップの表面から1mm文字を浮き出させます。
以上で完成です！お疲れ様でした！！
お好みで色を変更してみてください。
画面左側のマネージャの中からソリッドを右クリックから「外観」を選択する、もしくは、色を変更したい面を右クリックして「外観」を選択することで色を変更することができます。
さらに、お好みで演習として、他の面にも文字を追加してみてください。
今回は、「ロフト」と「スイープ」を使用してコップのベースの形状を作成していきました。「ロフト」は、2つ以上の異なる断面をつないで形状を作成することができます。「スイープ」は、断面を指定したパスに沿って動かして形状を作成することができます。「ロフト」と「スイープ」の使い方をマスターすることで、モデリングができる形状の幅が広がります。
また、今回コマンドで使用した「シェル」は一定の厚みで中をくり抜くことができ、「エンボス」は作成したスケッチを面に浮かび上がらせることができます。ZW3Dには多くの機能が搭載されており、複雑な形状も自由に作成することができます。ぜひ、これを機会に今後も使い続けてみていただければと思います。
今回の作成手順を動画で確認いただけます。参考にしてください。
筆者プロフィール（小原照記 おばらてるき）
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事長も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動や企業へ技術的なサポート支援もしている。WEBブログやSNS、YouTubeを「テルえもん」という名前で情報発信中。