3D CADアセンブリとは

機械設計において1個の部品を設計して終わりということはなく、複数の部品を組み立て、各部品を合わせることで機能を持たせる設計が求められます。3D CADには、モデリングした部品を組み立てる「アセンブリ」という機能があります。3D CADで組み立てられた製品のことも「アセンブリ」と言い、2D CADで言うところの「組立図」に相当します。「アセンブリ=組立」と考えてもよいですね。

自動車を例にすると、エンジンやタイヤといった、各部品が組み付けられたものを「サブアセンブリ」、そして、全ての部品(パーツ)やサブアセンブリが組み付けられたものを「トップアセンブリ」と呼びます。複雑なアセンブリは、部品や他のアセンブリ(サブアセンブリ)を含む多数の部品で構成されます。

3D CADでのアセンブリは、自分の設計した部品を実物の試作品を作成することなく、コンピュータ上(仮想空間)で組立て検証を行う「仮想(バーチャル)試作」が可能です。モノを作らずに検証が行えるため、実試作回数を減らし、実際にモノを作ってからの修正を減らすことができ、時間短縮、コスト低減、品質向上につなげることができます。部品表とも連携でき、どの部品が何個組み付いているのかをすぐに表で確認できるため、コストの見積もり算出や部品の手配などにも役立てることができます。

世の中には、様々な3D CADソフトがありますが、今回は、30日間の無料体験版をダウンロードして使うことができる「ZW3D」を例に紹介をしていきます。ZW3Dは、一般的な3D CAD機能が充分に搭載されており、操作画面が分かりやすく、使いやすいため、初心者が学びやすい3D CADになっています。さらに、ZW3Dの基本的な使い方を知りたい方は、初心者向けガイドもあわせてご覧ください。

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ZW3D アセンブリガイド

ZW3Dでアセンブリを開始する場合には、「新規」からオブジェクトタイプを「アセンブリ」を選択し、サブタイプとテンプレートを選び、オブジェクト名(ファイル名)を入力します。

ZW3Dアセンブリ

アセンブリする基本的な順番は、はじめに基準となる部品を固定することから始まります。固定した部品に対して他の部品を様々な拘束を付加して位置を合わせていきます。なぜなら1つは固定しているものがないと3次元空間上を自由に部品が動いてしまうからです。1つ基準となるものを固定しておくことで、スライドや回転の動きを検証することができます。固定していないとスライドした際に全体がスライドしてしまうので注意が必要です。基準となる部品を固定することを忘れないようにしましょう。

 

ZW3Dでは、「アセンブリ」タブの中にある、「挿入」から部品を挿入することができます。

ZW3D アセンブリ挿入

例えば、ZW3Dの場合、配置位置を要素タイプ「デフォルト座標系」を選択することで固定をすることができます。「」を選択して自由な位置に配置することもできます。

ZW3D アセンブリ座標系

アセンブリの機能は3D CADによって異なりますが、部品と部品との位置合わせには拘束を付加していく方法が一般的です。3Dモデルの面と面を接触拘束させたり、軸と軸を一致拘束させたり、距離や角度を指定したりなどの拘束作業をしながら、スライドする機構や回転する機構を設定していきます。

ZW3D 機械拘束

拘束を与えながら位置合わせをする場合、自由度を考えていく必要があります。はじめは3軸の並進と回転の6つの自由度があります。拘束を付加することで自由度を減らし動きを制限していくことでスライドや回転の動きを定義したり、位置を固定したりすることが可能となります。

 

一般的な拘束の種類として、一致、平行、垂直、正接、同心円、固定などがあります。ZW3Dには、拘束する自由度に特別な定義関係が付与でき、ギアやカムなどの機械的動作などを設定できます。

 

アセンブリをする場合、立体空間にある形状を操作している感覚が必要です。立体を想像して線と線を合わせていく2D図面を作成し設計していく場合の感覚とは異なり、立体と立体の位置を合わせるためには、どの面と面、軸と軸を合わせていけば良いのかの立体的感覚を養う必要があります。2D CADで設計をする場合に立体をイメージすることが必要ですが、3D CADで設計をする場合にも立体空間を把握する空間把握能力が必要となります。これは3D CADでアセンブリ操作していくことで磨かれていきます。空間把握能力を磨いてからでないと3D CADができないということではないので心配しなくて大丈夫です。実際の組立て作業に似ている部分もあるため実際の作業をイメージしてアセンブリしていくと良いでしょう。

 

アセンブリという作業に最初は慣れないかもしれませんが、作成したアセンブリデータをアニメーションで動かし機構検証をしたり、干渉箇所を調べることができたり、断面を切って内部の状況を確認したり、クリアランス(隙間)距離を確認したり、組み立て・分解検証、質量や重心を確認したりなど、コンピュータ上の3D空間に仮想試作することで、2D CADでは得られなかった多くのメリットを享受できます。そして、現在はVR(仮想現実)技術やAR(拡張現実)技術を使って、実際に作業者の手が届くか、操作性が悪くないか、危険性がないかなどを、よりリアルに検証できるようになってきています。

ZW3D アセンブリ作業

 

3D CADアセンブリの注意点・ポイント

アセンブリをする際の注意点として、位置合わせをするときに使用した面や軸が設計変更等により存在しなくなってしまうとエラーが発生して位置が合わなくなってしまうことがあります。できるだけ設計変更が起きてもなくならない要素で位置合わせをするのが理想です。

 

さらにアセンブリをする場合には構成を考える必要があります。多数の部品を1つのアセンブリに配置すると扱いづらいため、関係の深い部品同士を1つのアセンブリとしてまとめて、まとめたものをアセンブリすることで扱いやすくなります。

 

自動車を例にするとエンジンやタイヤを各アセンブリにまとめることで管理がしやすくなります。パソコンのデータ管理でフォルダの中にフォルダをつくるようなイメージです。この方法により、アセンブリや部品は階層構造となります。階層構造となることで多数の部品から構成される製品でも管理がしやすくなります。アセンブリ構成は設計の初期段階で決めておくことが望ましいですが、後からの変更も可能なため設計作業を進めながら構成を考えていくことも可能です。

 

アセンブリをするタイミングですが、全ての部品が完成してからでなければアセンブリできないわけではありません。部品とアセンブリの関係は部品を変更するとアセンブリも同じく更新していくことができます。そのため部品がある程度できたらアセンブリをして問題がないか確認をしていきながら設計を進めていくと良いです。問題を早い段階で見つけることで設計において問題が大きくなる前に良い改善策を考えることができます。

 

ZW3Dでの具体的なアセンブリの操作方法の解説については、以下の動画を参考にしてください。

 

3D CADの更なるメリットを享受しよう

今回は3D CADでのアセンブリの基礎について紹介しました。2D CADで設計を進める中では得られない多くのメリットが享受できることが理解いただけたと思います。3D CADで作成したデータは、CAEと連携して強度や熱などのシミュレーションを行ったり、制御プログラムと連携させて動作検証を行ったり、生産における組立検証を行うなど様々な活用用途があり、今回紹介した以上のメリットがあります。

まずは3D CADの基礎であるモデリングを行い、アセンブリを行うことから挑戦してみましょう。いきなり製品のすべてのデータを3Dモデル化してアセンブリする必要はありません。動きを確認したい箇所や干渉を確認したい箇所の部分だけを抜き出して3Dモデルを作成して検証をすることから始めても良いでしょう。なお、2D CADと3D CADの違いについて知っておくと、スムーズに移行しやすくなります。2D CADと3D CADの併用から始めて、徐々に3D CADでの設計に移行していけば良いのです。できることから徐々に取り組んでいきましょう。

 

筆者プロフィール(小原照記 おばらてるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事長も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動や企業へ技術的なサポート支援もしている。WEBブログやSNS、YouTubeを「テルえもん」という名前で情報発信中。

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