はじめに

  世の中には多くの3D CADソフトがあり、導入を検討する際に「どれを選べばよいのか」と迷うことあるでしょう。失敗の要因としては、「社内に3D CADやITの知識を持つ人がいない」や「何を実現したいのか明確なイメージがなく、商社に任せきりになってしまう」などが挙げられます。

  そこで本記事では、選定の際に押さえるべきポイントを6つの項目に分けて解説します。

3D CAD選びの6つのポイント

1.機能性

  当然のことですが、必要なことができなければ3D CADを導入する意味がありません。思い描いた形状が作成できなかったり、作成手順が複雑で時間がかかりすぎたりすると、業務の効率が悪くなってしまいます。

3D CADの主な機能には、以下のようなものがあります。

機能
  • モデリング機能:3Dモデルの作成 
  • アセンブリ機能:デジタル上での部品の組み立て 
  • 図面機能:3Dモデルから2D図面の作成
  • 検査機能:曲率や勾配、干渉の確認など

これらの機能が、自社の用途に合っているかをしっかり確認することが重要です。

  基本的な機能はどの3D CADにも共通していますが、細かい設定の可否には違いがあります。そのため、導入を検討する際は、自分が作りたい形状を実際に作成できるかを確認することが重要です。例えば、複雑な曲面を作成する場合は サーフェス機能 の有無や性能をチェックする必要があります。また、 デザイン向けなのか、機械設計向けなのかといった用途の違いも、選定時の重要なポイントとなります。

機能性については、

下記、6つの項目などで評価してみると良いでしょう。

Tips
  • (1)モデリング(曲面以外)
  • (2)モデリング(曲面)
  • (3)アセンブリ
  • (4)図面
  • (5)検査
  • (6)変更・修正

2.コスト性

 多くの人が、3D CADのコストに悩まされます。一般的なミドルレンジクラス の3D CADは 100万円前後、ハイエンドクラス になると300万円以上するものもあります。最近では、サブスクリプション版の3D CADも増えていますが、年間コストがかさむ点には注意が必要です。また、ソフトウェアの更新に必要な「保守料」や「教育サポート料」なども、製品によって機能だけでなく 価格が大きく異なる 要因となります。さらに、3D CADを快適に動作させるためには、ハイスペックなPCの準備も必要です。こうしたトータルコストを事前にしっかりと検討することが重要です。

3.操作性

 機能性はもちろん重要ですが、操作が複雑すぎると使いにくく、作業時間の増加や習得に時間がかかる原因になります。そのため、分かりやすい操作画面 になっているかどうかも、導入時の大切なポイントです。また、ショートカットキーの割り当てや右クリックメニューへのアクセスなど、素早く操作できる仕組みが整っているかも、作業効率を考えるうえで重要です。最近では、多くの3D CADが直感的に操作できるインターフェースを採用し、より扱いやすくなっています。こうした点も比較しながら、自社に適したソフトを選びましょう。

4.連携性

 他の3D CADのデータを取り込んだり、異なる3D CADで読み込める形式でデータを出力したりできるかどうかは、外部との業務連携において重要なポイントです。また、CAE(解析) や CAM(加工)、3Dプリンタとの連携も考慮する必要があります。さらに、近年では3Dスキャナで測定したメッシュデータを取り込んで作業するケースも増えており、対応可否を確認することが大切です。その他にも、以下のような連携機能があるかどうかをチェックするとよいでしょう。

・3Dモデルの修正がアセンブリや図面にも自動で反映されるか

・他のソフトウェアやアプリケーションをアドインして機能拡張できるか

こうした連携性を考慮することで、よりスムーズな業務運用が可能になります。

5.効率性

 ここでいう効率性とは、応答時間や処理速度のことを指します。どれだけ機能が優れていて操作しやすくても、データの読み込みや形状処理に時間がかかるようでは、作業効率が大きく低下してしまいます。シンプルな形状のデータであれば、大きな違いは感じにくいかもしれません。しかし、数千~数万点以上の部品を扱うような大規模アセンブリでは、3D CADの処理能力によって作業速度に大きな差が生じます。そのため、普段の設計で部品点数が多い製品 を扱う場合は、処理速度の違いに特に注意して選定することが重要です。

6.運用性

 ランニングコスト を含むコスト面だけでなく、以下のような 運用面 も重要なポイントです。

・操作習得のサポート体制や教材の充実度

・情報の入手のしやすさ(ユーザーコミュニティや公式サポート)

・データ管理のしやすさ

実際、高価な3D CADを導入しても、運用がうまくいかずに活用しきれない企業が多いのが現状です。3D CADの機能性だけでなく、社内の体制やマネジメントとの相性も考慮し、スムーズに運用できるかどうかを事前にしっかり検討することが重要です。

ZW3Dの徹底解説

本項では、上記の3D CAD選びの六つのポイントよりZW3Dを解説いたします。

1.機能性

(1)モデリング(曲面以外)

  一般的なミッドレンジ3D CADと同等のモデリング機能が搭載されています。スケッチを描き、それを押し出しや回転などのフィーチャー操作によりモデリングをしていきます。板金や溶接、モールドの機能も豊富に搭載されており、よりコアな設計を行うことも可能です。放電加工用の電極を作成する専用のコマンドがあり、ギャップの設定や電極図面の作成まで行えます。放電加工を行う現場にとって大きなメリットとなるでしょう。(2)モデリング(曲面)

  非常に豊富なサーフェス機能があり、G1(接線連続)やG2(曲率連続)の連続性をコントロールしながら複雑な曲面を作成できます。モールド機能も搭載されているため、パーティングラインを意識して角度を付けた面の作成や延長が行えます。面を作成するためのワイヤフレームの作成機能も豊富に搭載されており、平面上にスケッチを描く以外にも3D空間上に自由に線を描くことができ、要素間にワイヤフレームを作成し、より細かい設定を加えた曲面作成が可能です。形状の一部を押し出したり、くぼませたり、曲線沿いに変形させたりなど直感的に形状処理ができるモーフィング機能があります。他にも3Dスキャナなどで測定した点群データの編集が可能で点群に面をかぶせて3D CADデータを作成できるリバースエンジニアリング機能も搭載されています。これらの機能により、ZW3Dは複雑な自由曲面の3Dモデルの作成にも対応できる点が大きな強みと言えます。

(3)アセンブリ

  一般的なミッドレンジ3D CADと同等の機能が搭載されており、部品を挿入し拘束をつけて、機構チェックや干渉チェック、分解図などのアニメーションの作成が可能です。機械的な拘束も搭載されており、ギア拘束やネジ拘束、パス拘束などの専用機能があります。これらの機能により、機構設計や動作検証をスムーズに行うことが可能です。

(4)図面機能

  作成した3Dモデルを投影して2D図面を作成することが可能です。断面図、詳細図の作成はもちろん、補助図、破断図なども作成可能です。表として、部品表のほかにも穴のリスト、鋼材表、溶接、電極などの表を作成することも可能です。これにより図面作成の効率化を図ることができ、製造現場での情報共有がスムーズに行えます。

5)検査機能

  詳細なフェース分析機能が搭載されており、面の連続性チェック、曲率や半径チェック、板厚チェック、勾配やアンダーカットチェックが可能で、勾配チェックでは面の上にマウスを乗せると細かい数値が表示されピンポイントで調べることができます。他にも他の3D CADソフトには、あまりない機能として、高さ分析機能があり、部品にある凹凸の高さ情報を色と数値で教えてくれます。同じ高さにあるかを色で簡単に調べることができます。他にも一般的な断面表示や質量・体積の測定が可能であり、部品と部品との比較もできるため設計変更された形状の差異を色確認することも可能です。これらの機能により、設計ミスの防止や形状検証の精度向上 が期待できます。

(6)変更・修正

  モデリングした作業は履歴として保存されているため、後からの編集ができます。付加した寸法の変更や履歴の途中に形状の追加・修正などの一般的なパラメトリックモデリングが可能です。形状を直接編集するダイレクトモデリング機能も搭載されているため、別ソフトから読み込んできた形状などで履歴のないモデルでも形状の修正が行えます。また、他社の3D CADデータを読み込んできた場合に、不具合がないかのチェック機能が搭載されており、欠落したフェースの修復やオープンエッジの修復などが行えるヒーリング専用のコマンドが搭載されています。これにより、3Dデータの品質を向上させることができ、設計や加工のデータ作成業務をスムーズに行うことができます。

2.コスト性

  機能ごとに異なる豊富なラインナップが用意されており、高機能でありながら価格が抑えられています。例えば、以下の3つのラインナップを紹介します。

 

価格 主な機能
スタンダード版 60万4千円~ 通常のモデリング機能
プロフェッショナル版 90万3千円~ モールド金型設計支援機能を搭載
プレミアム版 168万3千円~ CAEやCAM機能を含む全機能搭載

  一般的なミッドレンジ3D CADのスタンダード版が約100万円 であることを考えると、ZW3Dは比較的安価であると言えます。さらに、ZW3D Liteという低価格版もあり、31万3千円 で利用可能です。ただし、サーフェス機能に制限 があるなどの制約がありますが、通常のモデリングを行うだけであれば、ZW3D Liteでも十分かもしれません。

3.操作性

  UI(ユーザーインターフェース)が分かりやすく、コマンド操作も細かいことをしたいときは、入力ボックスに細かく指示していく形式になっているため、初心者の人でも難しく考えることなく操作でき、コアな設定をしたい人は、指示していくことができ非常に操作性はよいと思います。

  右クリックからのコマンドアクセスや筆者の気に入っている点として、マウスのホイールボタンをダブルクリックすることで、コマンドの入力を確定させたり、1個前に実行したコマンドを呼び出したりできるので、作業効率を上げることができています。

  また、最近はAI機能が搭載されてきており、ユーザーに合わせて次のコマンドを予測し導いてくれます。また検索機能も強化されており、部品の図面が画像を入力すると、一致するモデルを効率的に特定してくれます。材料の種類や仕様などの属性を追加することで、さらに検索を強化することが可能です。

  これらの機能により、スムーズに操作ができ、効率的に作業が行えるのが、ZW3Dの大きな強みです。

4.連携性

  ZW3Dが搭載しているトランスレータは多くの3Dファイルフォーマットをサポートしており、取引先などからデータをもらって、冶具設計、金型設計、切削加工などを円滑に進めることができます。エクスポート機能も充実しており、中間ファイルに出力できるのはもちろん、ハイエンド3D CADのCATIA V5のファイル形式(catpart,catproduct)にエクスポートができるのも特徴的です。

  この高い互換性により、異なる3D CADソフトとのデータ連携がスムーズに行え、外部との協業やデータ活用の幅が広がるというメリットがあります。

5.効率性

  CADとCAMが一体化したソフトであるため、設計から加工プログラムの作成までをデータ変換なしで連携でき、作業の効率を大幅にUPさせることができます。また、ZW3Dバージョン2025では、大規模アセンブリの処理効率が大幅に向上しており、表示パフォーマンスやモデリング、図面作成の作業環境が良くなっています。これにより、より快適な作業環境を実現し、大規模な設計業務にも対応しやすくなっています。

6.運用性

  部品、アセンブリ、図面を1ファイルで管理することができるため、複雑なデータ管理は不要で1元管理が可能です。設定で別ファイルとして区別して保存も可能となっています。ZW3Dで作成したデータをIGESやSTEPなどの中間フォーマットで出力できるため、他の3D CADへデータを渡して運用していくことも可能です。

  また、ZW3Dは、製品製造情報(PMI)を追加した3D図面を作成することが可能であり、ISO規格に承認されている3D製品の定義データの取り込みや再利用を可能にするファイル形式「JT」の入出力にも対応しています。他にも3D PDFにカラーでエクスポート可能で社内での3Dデータの運用に便利です。3D PDFに部品名も反映させることができます。

  その他の運用性として、日本語でのサポート体制があり、WEBには、公式や代理店がZW3Dの機能や使い方について解説の記事や動画が掲載されているため、安心して使用できる環境が整っています。

  ZW3Dは、他のソフトとの連携や社内での情報共有がスムーズに行え、サポート体制や学習できる環境が整っていることから運用性が高いと言えます。

ZW3DのCAM機能

  今回は3D CADの機能に特化して紹介しましたが、ZW3DにはCAM機能もあります。旋盤、穴、2軸・3軸の切削加工パスの作成ができます。切削シミュレーションによる動作検証も可能です。オプションを追加することで同時4軸・5軸加工も可能になります。他にもCAE機能も搭載されており、基本的な構造解析や機構検証が可能となっています。

まとめ

  ZW3Dの評価を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。一般的なミッドレンジの3D CADと比べて安価ですが、豊富な機能が搭載されており、操作性も良く、これから3D CADをはじめる人にとっての選択肢の1つになるものと思います。

  ZW3Dの3D CADの基本機能(スケッチ、ソリッド、アセンブリ、図面)について学びたい方は、筆者のYouTube動画を参考にしていただければと思います。

【YouTube】テルえもんCADルーム

ざっくり紹介!「ZW3D」久しぶりに使ってみた!!スケッチ・ソリッド・アセンブリ・図面作成

https://youtu.be/bAP4b5Y4nsc?si=DddCUQEj5Y3vPssv

  ZW3Dは年々、機能や操作性が向上しています。筆者は更に便利な機能が今後もっとたくさん追加されるのが楽しみであり、期待をしているところです。ぜひ、みなさんも一度、無料体験版をダウンロードして使ってみてください。

筆者プロフィール(小原照記 おばらてるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事長も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動や企業へ技術的なサポート支援もしている。WEBブログやSNS、YouTubeを「テルえもん」という名前で情報発信中。

 

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