スモールスタート可能な3D化のメリット
製造業で使われる一般的な機械設計用の3D CADとなると、買取り形式で100万円以上のものが多く、気軽に購入して使えるものではないですが、無料・安価で使用できる3D CADも存在します。
自社で設計した2D図面や客先からもらった2D図面を3Dモデル化したい場合に、高額なソフトを使用しなくても、無料・安価な3D CADでも十分に対応できる場合があります。
2D図面だけでは、完成イメージがつかみにくかったり、加工するためのプログラム作成が困難だったりする場合があります。3Dモデル化することで形状把握がしやすくなり、必要であれば、シミュレーションによる強度検証が行え、部品と部品との干渉チェックや質量の確認も行うことができるなど、多くのメリットがあります。
詳しくは、過去の記事「2D CADと3D CADの違いとは?特徴とメリットをわかりやすく解説」をお読みください。
今回は、多くのメリットがある3Dデータを作成できる無料・安価な3D CADソフトを紹介します。無料・安価ではじめることができるため、最初から大規模に展開する必要はなく、小規模で始めて徐々に規模を拡大していくスモールスタートが可能です。多額の投資をして失敗するリスクを低減でき、成功の確率を高めるための有効な戦略をとることができます。
無料・安価な3D CADソフトの紹介
トップ 1:ZW3D
ZW3Dは、設計から製造まで一貫した機能を備えた高機能な3D CAD/CAMソフトウェアで、基本的な3D CAD機能を使用できるタイプは313,000円から購入可能です。CAM機能まで使用したい場合でも、100万円以下と安価な費用で使用できます。 永久ライセンスを購入できますので、長く使えば使うほどコストパフォーマンスが高くなります。Webページから30日間の無料体験版をインストールして試すこともできます。30日間は3D CADやCAMなどのフル機能を使用することができます。ぜひ、お試しください。
【公式サイト】ZW3D 2026の無料体験版をダウンロード:https://www.zwsoft.co.jp/download-form/zw3d-2026/
【入門・初心者向け】ZW3Dの始め方と使い方について~3D CADの覚え方のコツ教えます: https://www.zwsoft.co.jp/blog/zw3d-start-guide-cad-beginner/
トップ 2:Autodesk Fusion
サブスク型のクラウドベース3D CADです。作成したデータは基本的にクラウドに保存されます。個人の趣味や学生などは無料で使用できますが、企業が使用する場合には、有料となります。月額プランで12,100円から使用でき、年間プランだと96,800円から使用することができます。安価でスモールスタートが可能ですが、永久ライセンスではありませんので、お金を支払って更新しないと使えなくなりますので、ご注意ください。Webページから30日間の無料体験版をインストールして試すことができます。
【公式サイト】 https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview
トップ 3:Onshape
3Dモデリングをクラウド上で行えるフルクラウド3D CADです。非商用での利用のみ許可された無料プランがありますが、仕事で使うのであれば各種管理機能やセキュリティ機能が強化されている有償プランの導入が必要です。Standardプランが1,500ドルからはじめることができます。クラウド上で動作するため、ユーザーはソフトウェアのインストールやハイスペックのPCを購入する必要がないのが特徴です。
【公式サイト】 https://www.onshape.com/ja/home-ja
トップ 4:FreeCAD
オープンソースの3D CADで、無料で企業の商用利用でも使うこともできます。ソースコードが公開されているため、自分でカスタマイズや拡張が可能です。ただし、インターフェースや操作性は他の有償CADよりやや複雑であり、商用サポートがあまりないため、何か困ったことがあった場合には、自分でWEBを探したり、コミュニティを活用したりしながら解決していく必要があります。
【公式サイト】 https://www.freecad.org/index.php?lang=ja
トップ 5:DesignSpark Mechanical
3D CADの基本機能は無料で使用でき、個人・商用問わず利用可能です。直感的な操作性と後からの修正の柔軟性が特徴の「ダイレクトモデリング」が基本となっています。作業履歴が残らず、スケッチやフィーチャのパラメータを修正しての設計変更は行えないので、使用する場合には注意が必要です。図面作成やSTL等のメッシュデータからソリッドを作成したい場合には、有料プランを契約する必要があり、サブスクで月額1,760円、年額21,120円から使用することができます。
【公式サイト】 https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-software-jp
2D図面から3D化する方法について
2D図面から3D化する方法は、大きく2つあります。
1つは、2D図面のデータを3D CADに取り込んできて、3D化していく方法です。
もう1つの方法は、2D図面を見ながら、3D CADでスケッチの機能などを使い、自分で線を描いて、3D化していく方法です。
例えば、上記で紹介したZW3Dの場合、2D図面データのDXFやDWGファイルを読み込んでくることができます。読み込んできた線を使用して3D化を行うことができます。

コスパ最強の高性能 All-in-One 3D CAD/CAE/CAM
永久ライセンスで313,000円~
登録不要!フォームの入力だけでOK!
手順1)2D図面データをインポートします。
手順2)必要な線データを抽出して、シェープ機能で3D化できます。下図は、抽出した線を使用して回転フィーチャで立体化をしている様子です。
上記を2D図面を見ながら手動で線を描いていった場合、慣れている人でも作業時間が3分程度は必要となりますが、2D図面をインポートしてくることで1分程度で3D化することができます。自分で線を描く必要がないため、ミスなく迅速に3D化することが可能です。
まとめ・3D CAD選びのポイント
2D図面から3D化したい人に向けて、無料・安価で使用できる3D CADを紹介し、簡単な作成手順も説明をしました。世の中には様々な3D CADソフトがありますが、選ぶ基準として、価格も重要ですが、操作性や機能性、習得のしやすさなども大切なポイントです。
実際、高価な3D CADを導入しても、運用がうまくいかずに活用しきれない企業が多いのも現状です。3D CADの機能性だけでなく、社内の体制やマネジメントとの相性も考慮し、スムーズに運用できるかどうかを事前にしっかり検討することが重要です。
関連記事:【徹底解説】3D CAD選びで失敗しない6つのポイント!ZW3Dを評価してみました!
3D CAD導入にあたっては、人材の育成も大事なポイントとなります。はじめが肝心ですので、外部の教育やサポートを受けたりしながら、きちんと基礎を習得していくことをオススメします。ぜひ、3D CAD導入と活用に向けて、本WEBサイトも参考にしながら進めていただけたらと幸いです。
筆者プロフィール(小原照記 おばらてるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事長も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動や企業へ技術的なサポート支援もしている。WEBブログやSNS、YouTubeを「テルえもん」という名前で情報発信中。